【課題の分離】【横並びの姿勢】~アドラー心理学より大切なお子様との接し方~

皆さまこんにちは!

ヨコミネ式保育園1歳児たまごクラス担任

元木先生です!(^^♪

11月は参観日、そして個人懇談が行われました。

1歳児の参観日ではみんな大好きサーキットを親子合同で開催しました。

(サーキット遊びのねらいについて別記事にて掲載しております。是非ご覧ください。)

実際に保護者の方も道具を使って体験してみたり

子どもたちが自分からどんどん遊びに向かっていく様子をご覧いただいたり

とてもステキな時間となりました(*^^*)

そして個人懇談。

ご家庭でよくご相談されますのが「子どもが言うことを聞かない」「イヤイヤ期が来た」

「お片付けしない」「ごはんをたべてくれない」「叱っても叱っても効果がない」などの声が多いものです。

生活習慣を身につけてほしい、どこに出しても恥ずかしくない子になってほしい、他人に迷惑をかけたくない…様々なお悩みがあることかと思います。

本日は個人懇談でも実際にお話しました、アドラー心理学より「課題の分離」「横並びの姿勢」の2つの理論からお話します。

子育てのみならず会社など人間関係すべてに当てはめることができますので是非ご一読ください。

【課題の分離】

課題の分離とは、自分と他者の課題を切り離し、互いの責任範囲を明確にすることです。

例では部下の失敗は部下の課題であり、上司の課題ではない。上司の課題は部下を叱ったり責めたりする部下のコントロールではなく、間接的に部下が成長できるように指導するという自分でコントロールできる範囲のことです。

これを子育てに置き換えます。

例として時間になってもお片付けをしない子がいます。

【お片付けをしたくない】のは子どもの課題です。

 【生活習慣会得のために子どもにお片付けをさせたい】のは大人の課題です。

“時間が来たら片付ける”という生活習慣を会得してほしいのは大人の願いですが、『子どもにさせたいこと』が大きすぎると

「時間が来たら片付けないとダメ!」という否定の言葉かけや「片付けないと遊べないよ」という条件づけの言葉がけをしてしまいがちです。

しかし子ども自身は、“将来なぜ自分が困るか”“なぜダメなのか”というビジョンはわかりません。

「早く片付けないと、ごはん無いよ!鬼さん来るよ!」などという脅迫は、一時的に子どもは

回避を選択せざるを得ないため通用しますが、根本的解決にはなりません。

そうは言っても、ついつい感情的になって叱ってしまうこともありますよね。

しかしそれが続くとお子様もお母さんお父さんもどんどん疲弊していく一方です。

そこで注目するのが、なぜ子どもは『片付けをしたくない理由がある』のかです。

子どもや状況によって様々ですが「時間が来たけどこの遊びがいいところ」なのかもしれないし、

他者に「片付けしなよ」と言われたから片付けする気がなくなったのかもしれません。

私自身、小さかった頃に「勉強しなさい」「片付けしなさい」「早く寝なさい」などと言われると

「言われたからやった」という事実に釈然としていませんでした。

確かに勉強しない片付けしない寝ない私が悪いのですが、悪いと判断するのは親や他者、そして現在の私が評価したことなのです。

当時の私目線だと「勉強は今やらなくてもいい」「片付けも後日まとめてしたかった」「もっと見たい番組があった」などと考えていましたが、親に言えずにいました。当時の私目線では悪いのは親に映るのです。

幼児期に当てはめると、自我が芽生えて自己主張ができるようになることから、その気持ちはとても大きいものになるのです。

それでは大人目線でどうすればよいのか、

重要なのは子どもの課題である「片付けをしたくない理由」を見つけることです。

以下実例を元にご説明します。

~時間が来たけど片づけない場合の例の流れ~

●→先生 ★→子ども

●「あれ?時間来たけどどしたん?」←「時間きたら片付けだろ?」「早く片付けて」など否定や

指示から入らず、子どもの思考の確認

★「これもうちょっとでできるんよ」

●「今はブロック組み立ていいとこだったんやな」←子どもは片付けをしたくないのではなく、

ブロックで車を完成させたいことが課題と見る。

●「もう少しで完成か、ほな手伝うけん早く作ろう!」←子どもの気持ちを受容、子どもの課題を遂行。

                          片付けをしてほしい大人の課題はまだ出さない。

●「作ったらまたすぐ作れるように写真撮る?」←完成した後に片付けをしてもデメリットを感じないように

●「これならお片付けしてもすぐまた作れるな!大切に置いとくな!」

↑片付けをさせることを強制するのではなく、またすぐ作れるというイメージを与えることで

片付けをしたくない理由から遠ざける。

★「うん!」

●「ほな一緒に片付けようか!あとで一緒に作ると早くできるかな~」

↑片付けを過度に褒めてしまうと正の褒章として“片付けをしてやる“という意識につながる。

(褒章のために行動を左右するようになることを心理学でアンダーマイニング効果といいます。)

 ここでは次の期待感を持たせつつ会話をすることで片付けの時間も楽しく過ごす。

課題の分離の話に戻ります。

課題の分離は、最終的にその行動の結果や恩恵を受けるのは誰かという視点から、誰の課題かを判断するもので、この考え方により他人の課題に介入して支配しようとしたり、逆に自分の課題を他人に任せたりすることによる人間関係のトラブルやストレスから解放することが期待できます。

この場合だと、「子どもに片付けをさせよう」という子どもをコントロールさせようとすることではなく、

「子どもが片付けたくない理由がある」子どもの中の課題を見抜くことで、こちらの指示なしで子ども自身が片付けをする結果につながりますね。

【横並びの姿勢】

続きまして横並びの姿勢についてお話します。横並びの姿勢とは、文字通り子どもと大人、上司や部下などを

「縦」ではなく「横」の関係として築くことを意味します。

「対等性重視」「支配・評価の否定」、「相互尊敬と協力」などが含まれています。

例えば「叱る」。先生と生徒として上下関係は確かに大切かもしれません。ましてや怒ると叱るは意味合いが違う!とか言う話が聞こえてきそうですがそんなことはなく、アドラー心理学においてそもそも他者に対して

叱る行為は、他者を過度に干渉していることになります。

乳幼児期において愛着形成・信頼関係などの”養護的側面がしっかりとした土台となることで、教育がはじまるものだ”と保育所保育指針でも定められているように、子どもに叱るということはなるべく避けたいもの。(誰しも怒りたくて怒りませんよね…)

横並びの姿勢での考えは、先ほどの実例でも出てきた受容と共感という

共同体感覚(貢献しあう感覚)が大切になってきます。

子どもがお友だちのおもちゃを取ろうとした時、「とってはダメ」「これは○○くんのだろ!」「いい加減にしなさい!」などと言ってしまいそうになります。(横並びは支配・評価を否定します。)

そこで

  • 「○○くんのおもちゃが欲しかったん?」と一度子どもの気持ち、考えをくみ取りアンサーを待ちます。
  • 「わかる、あれ楽しいもんな。先生も大好きよ」と共感することで、子どもも心を開こうとします。
  • 「○○くんどうやったら貸してくれるか先生と一緒に考えよう」等→協力して問題解決の姿勢。

上記のように仲介として援助の関わりはするものの、先生の指示支配ではなく、先生と子どもたち含めた3人で考えていくことが大切なのです。※相互尊厳と協力のやり取りです。

コントロールしているようで、決定権は常に子どもたちが持つほうが納得いきます。

もちろんすべてがうまくいくことはありませんが、先生が引っ張って話をもっていくのではなく

このように子どもたちのうまく言葉に表現できない気持ちをくみとって受容し共感し寄り添い、一緒に考えることが横並びの姿勢の大切さなのです。

また、上記のやり取りでは、仕事や交友関係など様々な場面でも有効です。

是非ご活用ください。

以上たいへん長いお話となりましたが、いかがでしたでしょうか。

1歳児たまごクラスのみんなは、安心できる環境の中で承認欲求も満たされて自我が芽生えだし、自律性欲求が大きくなり貢献欲へと花開いています。

1歳児クラスでは『先生という安心基地を中心に自ら外界へと積極的に探索活動をする』という、心が育つことでこういった自ら行う探索活動によって自分から積極的に学びの姿勢へとつながっています。

そんな子どもたちの気持ちをしっかりと受容し、共感したり一緒に考えたりすることで、ともに成長していきたいとおもいます。

今回のお話がご家庭のイヤイヤ期やお悩みの対処法などの少しでもヒントや手助けになれたら幸いです。

もちろん個別でその他なんでもご相談承りますので、気軽にお問合せください。

大切なお子様も、そして働くお母さんお父さんみんなが幸せになりますように。

今日も本当にお疲れ様です。どうかご自身もお子様もたっぷりと愛してください。